深海マザーオンラインショップにて、カップメンダコ「オーロラシリーズ」6種を数量限定で発売しました。
オーロラシリーズは、光の条件(見る角度など)により、様々な色に変化する擬態能力のような特殊能力を持っています。
タコの仲間の中でも擬態をしない深海生物のメンダコですが、周囲の色に溶け込んで擬態するかのように、カップ麺やマグカップにかぶせる時や持ち上げる時、テーブルに置く時などで色が変化する様子を楽しめることが特徴です。
以前から企画だけはあったのですが、Gガエルさん(仮名)というお客様からリクエストをいただいたことがきっかけで製作に踏み切りました。
彼は、サブカルやアングラ、闇ビジネスなどを好み、もし深海マザーが法人成りした際には代表取締役社長の座を狙っている要注意人物です。
ところで、日本ペイントさんが開発したマジョーラと呼ばれる分光性塗料があるのですが、カスタムカーなどによく使用される特殊な塗料で、見る角度によって色が変わる性質があります。
マジョーラの成分と同じかどうかわかりませんが、その性質を持った特殊なメタリック顔料を仕入れて、それをベースにクリアー塗料と調合して自前の塗料を作りました。
名付けて、オーロラ。
まるで捻りがありません。
しかもマジョーラは、ラテン語で魔法を意味する単語「MAGIA(マジア)」と、自然界で見られるカラーシフト現象の「AURORA(オーロラ)」を組み合わせた造語だそうです。
きっと私の作った塗料は、マジョーラに遠く及ばないのでしょう。
ですが、カップメンダコオーロラシリーズは、しっかりと見る角度によって色を変えてくれます。
さて、どこから見た色がこの個体の本当の色なのでしょうか。
カップメンダコシリーズの場合、ネーミングの際に、例えば熱によって色がオレンジから白に変色するタイプの商品の場合は「オレンジスノー」といったように色から名前を決めることがほとんどなのですが、今シリーズばかりは何色だとかいう概念が崩壊していて決められなかったので、オーロラが見えるスポットで有名な地名から名前をいただくことにしました。
カナダのイエローナイフ
ノルウェーのトロムソ
アメリカ合衆国アラスカのフェアバンクス
なんとなく、メインの色に合った名前のような気がします。
完全に感覚でしかありませんが、合っているような気がします。
合っています。
それにしてもこの塗料、試作の際には気にならなかったのですが、何匹も相手にしていると塗装に多大なエネルギーを消費することがわかってきました。
グラデーション表現とは違い、ムラなく均一に塗装することは手間と長時間の集中力が必要で、黒下地、オーロラ、クリアー仕上げと3層にも渡るベタ塗装が決め手です。
それゆえ、当初は各種20匹計120匹の製作を予定していましたが、この数は作りきれない。身が持たない。どうやら年を取ってしまったようだ。
ということで、3分の2以下の各種1ダース匹(12匹)の製作へ変更することにしました。カップメンダコシリーズの中でも価格設定の高いハイエンドモデルなので結果的にちょうどいい数になったと思います。
それにしても毎度のことで申し訳ないのですが、ここで、「売りたくない病」を発病します。
「売りたくない病」とは、自分の中で素晴らしく出来のいい綺麗なものができた時に、販売用に作ったにも関わらず、「売るもんか」などと言って売りたくなくなる気分に陥るという症状が現れる病気です。
この病気の治療法は、販売すること。
矛盾をはらむ職業病(難病)の一つで、発病するとかなり厄介です。
苦悩の闘病生活を経て、ようやく販売に至ったカップメンダコオーロラシリーズ、熱烈なカップメンダコファンの方々により、既に半数近くもご乱獲いただいています。
いつも本当にありがとうございます。
残念ながら数量限定となってしまいますが、ぜひ捕獲またはご乱獲をご検討いただけたらと思います。
今後とも深海マザーをよろしくお願いいたします。