愛とチムニーの日々

美しいから美しい~深海ビブリオバトル潜入レポート~

しゃべるイベントに出てください

しゃべれないので無理です

しゃべれない人として出てください

この間5秒(ボクが3秒)ぐらいだったと思うが、この世にはいくら全身全霊を込めてコミュニケーションを試みようとしてもダメな場合もあり、しかもそれを待ってたかのように手首を掴まれて古びた井戸の淵へ誘導され、オットットッとそのまま頭の自重により、髪の毛がわんさか溜まった井戸底へサラリと落とされる場合もあるという事を、今後も人生を続けるならば知っておかなければならない。物理が大の苦手なボクにとっては物理の授業から始まり、こちらのイベントへの参加が決まった。

11月29日18時~杉並区立科学館
深海ビブリオバトル
HPなし、Twitter、Facebook削除予定

ビブリオバトルが何なのかは、こちらの動画(1分以内)を観ればすぐに分か(ったような気にな)りますので是非ご覧ください。「深海ビブリオバトル」は、ビブリオバトルを深海というテーマに絞ったイベントです。

冒頭の会話は、主催者さま(以下、ビブ中の人)とボクとの会話で、「ビブリオバトル」そのものを全く知らなかったその時のボクにとっては、そんなしゃべる事がメインとなる得体の知れないイベントで、人との対話ならまだしも人前で一人しゃべり続けるなんて無謀な事をする人間が存在してはならない!というテイの、嫌です、という意思表明だったが、「ただのアソビですから」と言われて、ああそうなんだと気付けば井戸から這い上がれなくなっていた。これは今年の冬から春にかけて起きた出来事である。

夏を経て~秋を経て~また冬を経・・・・・・

アートディレクターに任命します

突然のビブ中の人からの指令、というか最初は本当にネタだと思っていて、どうせ深海マザーは怪しいとか言われてるしまあ胡散臭くてイイかもなどと思っていたら、イベント当日に近づくに連れて徐々にビブ中の人が本気だという事が分かってきた。これはまさかプロとして扱われているのか・・・いやそんなこ・・・いやいや・・・みたいな自覚の薄さのようなモノが邪魔してしばらくふっきれない状態が続いた後、真剣に役目を果たす事に決めたのだった(いつもは手を抜いてるという意味ではございません)。
そんな葛藤をしながらも、本当にネタだったら恥ずかしすぎるけども・・・。

深海マザーの構成員はボクを含めて三名もいるので、与えられた任務(優勝トロフィー制作、会場の装飾など)をこなすには十分な手の数だった。深海ドリームを終えてから間もないせいか、「主催」という言葉を聞くだけで傷が疼くような状態だったが、ビブ中の人の主催任務を想像すると大変だろうなあと同情すらできる余裕もあったのだが、突然の内輪事があり、とにかく前日の夜になってもトロフィーしか準備ができていない状態に陥って、代表も欠席表明するなど本当に焦った。ワカメンは「行けますんでぇゴザイマス」と言ってくれたので少し安心したが、以前ボクが余裕綽々と言い放った「大き目のチムニーを4本創る」という重圧で変な汗が出てきた。ドースルドースルドースルドースルと無駄に歩き回ったりしながら過ごす。すると日付が変わる頃、ビブ中の人がメールで届けてくれた当日のタイムテーブルの中でこれが光った。

Check:発表本をチムニーの周りに設置

キタ!
瞬時に「大きな栗の木の下で」ならぬ「大きな鉄のチムニーの下で」の画が浮かんだ。予定していた4本分の材料を使って1本の大きなチムニーを創り、チムニー周りに置かれた本を取り囲むように群がる人たち。その光景を激写したい!と思って結局写真は撮り忘れたが、身体のどこかに刻まれているので満足である。

黒鉄の延べ棒を表現したチムニー「クロガネーゼ」
黒鉄の延べ棒を表現したチムニー「クロガネーゼ」

優勝者に贈られたトロフィー
優勝者に贈られたトロフィー
右:「浅め」オオグチボヤ
左:「深め」ゴエモンコシオリエビ(胸毛はオプション)

写真提供:りるあさん

トロフィー土台
トロフィー土台
彫刻ですよ

写真提供:りるあさん

チムニーの頂で回転し続けるトロフィー
チムニーの頂で回転し続けるトロフィー

写真提供:りるあさん

バトルは「浅め」の部と「深め」の部に分かれ、大まかに前者にはビブリオ界の猛者達、後者には深海クラス達が偏り、各5名ずつ計10名の発表者がそれぞれの想いを込めて、当日まで隠し通してきたマイ深海本を晒していった。紹介された深海本や見どころなどは、発表者の一人でもあったおちさんが素晴らしく詳細におもしろく書かれているので、是非こちらの記事を読む事をおすすめします。

ビブリオバトルは愛で乗り切れ!ルールに縛られず楽しむのが吉 : おち研

ボクは「深め」にエントリーしていたので、まずビブリオ界の猛者達の発表を聞くことになった。みんな緊張しているのか、笑顔なのに身体が震えながらしゃべっている。しかし、事前準備された布石本や資料などを交えたその巧みな話術に圧倒され、確かただのアソビだって言ってなかったっけ・・・!!!と魂の叫びも虚しく、即興でやってやると決意した事を後悔し始めたら、「浅め」が終わった頃には完璧に絶望し、もうダメだ・・・と喫煙所へ向かっていた。

休憩時間が終わると、容赦なくビブ中の人が「深め」の招集をかける。まずジャンケンで発表順を決めるらしい。勝った方が先なのか後なのか分かってないまま一番負けた。負けたヤツは一番最後だという。ああ、もうそんなに長くはない・・・余命6分といったとこだな・・・ボクの心臓・・・この場面で代表がいなくて良かった・・・慰めてくれるどころか、とことん追い込まれるだろうな・・・。

ジャンケンで一番勝ったのは、おちさんだったらしく、海底で地震を起こしたようにドォーーーンッと海水を「深め」へ激変させた。この深海クラスモード突入で、ほんのちょっぴり心臓がふわっと浮いたような気がしたが、さらに激しくドッドッ、ドッドッ、と大きく振動し始めたメインポンプから送られる血液を感じながら番を迎えて前に引っ張り出され、紹介する本を背後の机に置いた。そこから見る景色にはどういうわけか、クロガネーゼとゾンビちゃん(ビブリオ界の猛者の一人)がやけに目立っていて、チムニー、ゾンビちゃん、チムニー、ゾンビちゃん、と交互に語りかけるようにしゃべった記憶があるが、あんまり関係ない熱水噴出孔の事なんかをしゃべっていたら、5分間の内の4分間ぐらいを使い切ってしまい、ようやく本の存在を思い出した。残り1分・・・慌てて本を手に取り、タイトルすら言わずに紹介を始めたが、時すでに遅し。しかし、さすが、と言って良いのだろうか。質問タイム最後のビブ中の人からの質問が、ボクの一番言いたかった事を引き出してくれたのだった。

美しい絵を見た時

人は美しいと感じるでしょう 

そこに理由はありません 

ただ、美しいから美しいのです 

ボクは、そんな感覚を持っている人を美しいと感じ、発表を終えました。

おわりに

今回の会場となった杉並区立科学館が来年で閉館してしまうそうです。この科学館では、「深海ドリームビッグバン」の地であり、「ス・アンナ教のミサ」が行われた巣穴であり、今回の「深海ビブリオバトル」開催の地でもありと、個人的にとても想い入れのある場所になっただけに悲しいです。

ビブ中の人こと深海ビブリオバトル主催者さま、お疲れさまでした。素晴らしい機会を頂けた事に感謝しております。それから会場内の作品を始め、私の初めての発表を聞いてくださった方達に感謝いたします。

楽しかったです。
有り難うございました。

愛とチムニーの日々

深海にある熱水噴出域はね、極限環境って呼ぶんだって。
そうゆうの以外にも、違った意味での極限環境が思ったよりもずっと身近にあるんだよ。
例えばみんなが住んでいる家の中とかね。

 

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